下肢静脈瘤とは

脚(あし)の静脈は皮膚表面近くを通る伏在(ふくざい)静脈と筋肉の間を通る深部静脈の2種類があります。どちらの静脈も脚に流れた血液を心臓に戻す役目をしていますが、血液を心臓に戻すためには重力に逆らって戻さなくてはなりません。そのため、静脈には静脈弁(逆流防止弁)がいくつもあり、一度心臓の方に流れた血液が逆流するのを防いでいます。

下肢静脈弁不全

いろいろな理由でこの逆流防止弁の機能が悪くなることがあり、とくに伏在静脈の逆流防止弁の機能が悪化すると脚に血液が停滞し、様々な症状が現れます。このような状態を下肢静脈瘤といいます。

こんな症状でお困りの方、いらっしゃいますか?

下肢静脈瘤の種類と重症度

下肢静脈には伏在静脈自体に静脈弁不全による逆流が起こる伏在型、伏在静脈には問題がなく、支流であり側枝に逆流が生じる側枝型、そのまた支流の小さな静脈に逆流が生じる網目状型、さらに小さな静脈に逆流が生じるくもの巣状型があります。
手術や血管内治療(カテーテル治療)を行うのは伏在型のみで、側枝型、網目状型、くもの巣状型の治療は弾性ストッキングや硬化療法が選択されます。

下肢静脈瘤の種類と重症度 下肢静脈瘤の種類と重症度

下肢静脈瘤になりやすい人

高齢者、女性、出産経験(妊娠)、肥満、便秘、血縁者に下肢静脈の人がいる、立ち仕事(料理人、美容師・理容師、看護師など)は下肢静脈瘤の危険因子になります。

下肢静脈瘤になりやすい人

下肢静脈瘤の経過

下肢静脈瘤の経過
皮膚潰瘍

もっとも症状の重い伏在型であったとしても命に関わることはありません。もっとも重い症状としては、伏在静脈の逆流が高度で長期間続くと皮フに潰瘍(かいよう)を生じる場合があります。

下肢静脈瘤の治療

1.弾性ストッキング

すべての静脈瘤に対して行います。弾性ストッキングは弾力性のある特殊なストッキングです。脚を締めつけることにより下肢の静脈還流を改善します。非常にきついタイプのスットッキングであり、手の力がない方は着用できない場合があります。着用により脚の症状は軽減することが多いですが、根本的な治療法ではありません。

2.硬化療法

主に小さな静脈瘤に対して行います。静脈内にフォーム硬化剤という薬剤を非常に細い注射針で注入することにより血管を固めてしまう治療法です。治療自体は比較的単純な治療法ですが、リスクとしては、薬剤の注入部位に色素沈着が見られることがあります。

3.血管内治療(カテーテル治療)

伏在型静脈瘤に行います。血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)、血管内塞栓術(けっかんないそくせんじゅつ)の2つがあります。血管内焼灼術はレザーカテーテルあるいは高周波カテーテルにより伏在静脈を熱で焼くことにより伏在静脈に血液が流れないようにする治療法です(焼くといっても痛みはありません)。伏在静脈に流入できなくなった血液は脚の中心近くを通る丈夫な深部静脈を介して心臓に戻ります。日帰りで行うことができますが、治療後1ヶ月間は弾性ストッキングを着用していただきます。血管内塞栓術は医療用の接着剤を静脈内に注入し、血管を固めてしまう新しい治療法です。治療後に弾性ストッキングを着用する必要はありませんが、接着剤が体内に残るためアレルギー症状を認める場合があります。

4.外科的手術(ストリッピング手術)

脚の付け根と膝の内側2箇所を数cm切開して、大伏在静脈に専用のワイヤーを通して伏在静脈を抜き取る治療法です。通常は入院が必要になります。近年では3.の血管内治療が進歩したため、施行件数は減っています。

高周波血管内焼灼術の実際

高周波血管内焼灼術の実際 高周波血管内焼灼術の実際

局所麻酔を行い(4カ所程度)、カテーテルという細い管を膝の内側から伏在静脈に挿入します。カテーテル先端は高周波による熱を出す仕組みになっており、数回に分けて問題のある伏在静脈を焼灼します。治療時間は片足20-30程度で終了します。
また、ぼこぼこがひどい場合には瘤切除を行います。瘤切除は、ぼこぼこした皮膚の部分に3mm程度の非常に小さな切開を入れ、血管を引き上げる特殊な器具を使って血管を引き上げ、切除する治療法です。5-10分程度要します。

症例写真

① 75才、男性 ぼこぼこの高度な例

症例写真

詳細

経過と治療内容

右脚の高度のぼこぼこ血管の症例です。エコー検査では伏在静脈の逆流が高度であり、逆流している伏在静脈に対して高周波血管内焼灼術、右静脈瘤切除術を行いました。3か月後の写真では静脈瘤はほぼ消失しました。

上記治療法における一般的な主なリスクの可能性について

薬剤アレルギー:
手術時の薬剤によりアレルギーをおこすことがあります。重度のアレルギーの場合は、血圧低下や心停止を生じることもあります。

深部静脈血栓症:
エコノミークラス症候群とも言います。下肢の奥にある静脈に血栓ができて足が腫れたり、血栓が肺の血管を閉塞し呼吸困難(肺梗塞)を生じることがあります。大きな血栓が肺の血管を閉塞した場合には命に関わることがあり、入院治療が必要となります。

神経障害:
足の皮膚感覚が部分的に鈍ることがありますが、時間経過で回復することがほとんどです。

血栓性静脈炎:
残った静脈瘤が硬くなったり、痛くなったりすることがあります。

術後疼痛、内出血:
焼灼部位のひきつれ感は高頻度に認められます。疼痛、内出血はしばしば認められますが、時間経過で徐々に回復します。

色素沈着:
焼灼部位に褐色の色素沈着が出現することがあります。徐々に薄くなってくることが多いですが、残存する場合もあります。

本治療法における再発について

約5%程度に再発が認められます。発症時期は翌日~数年まで様々です。

下肢静脈瘤治療における一般的な治療費用

硬化療法
1割負担:約1,900円 3割負担:約5,700円

高周波血管内焼灼術(片足の場合)
1割負担:約11,000円 3割負担約:約32,000円

下肢静脈瘤血管内塞栓術(片足の場合)
1割負担:約15,000円 3割負担:約44,000円

③ 80才台・男性 難治性静脈性潰瘍の例

症例写真

詳細

経過と治療内容

3年以上にわたる治りにくい足の潰瘍の症例です。エコー検査では伏在静脈の逆流が高度であり、局所麻酔下に逆流している伏在静脈に対して高周波血管内焼灼術と静脈瘤切除術を行いました。右足の内側の大きな潰瘍は、3か月後には改善を認め、6か月後には完全に消失しました。

上記治療法における一般的な主なリスクの可能性について

薬剤アレルギー:
手術時の薬剤によりアレルギーをおこすことがあります。重度のアレルギーの場合は、血圧低下や心停止を生じることもあります。

深部静脈血栓症:
エコノミークラス症候群とも言います。下肢の奥にある静脈に血栓ができて足が腫れたり、血栓が肺の血管を閉塞し呼吸困難(肺梗塞)を生じることがあります。大きな血栓が肺の血管を閉塞した場合には命に関わることがあり、入院治療が必要となります。

神経障害:
足の皮膚感覚が部分的に鈍ることがありますが、時間経過で回復することがほとんどです。

血栓性静脈炎:
残った静脈瘤が硬くなったり、痛くなったりすることがあります。

術後疼痛、内出血:
焼灼部位のひきつれ感は高頻度に認められます。疼痛、内出血はしばしば認められますが、時間経過で徐々に回復します。

色素沈着:
焼灼部位に褐色の色素沈着が出現することがあります。徐々に薄くなってくることが多いですが、残存する場合もあります。

本治療法における再発について

約5%程度に再発が認められます。発症時期は翌日~数年まで様々です。

下肢静脈瘤治療における一般的な治療費用

硬化療法
1割負担:約1,900円 3割負担:約5,700円

高周波血管内焼灼術(片足の場合)
1割負担:約11,000円 3割負担約:約32,000円

下肢静脈瘤血管内塞栓術(片足の場合)
1割負担:約15,000円 3割負担:約44,000円